刑事事件の流れ
目次
- ケース1「逮捕されてしまった! 早く外に出るためには。。。」
- ケース2「起訴されてしまった! 保釈を得て外に出るためには。。。」
- ケース3「起訴されてしまった! 自分は無実で冤罪だ!」
- ケース4「起訴されてしまった! 刑務所には行きたくない。。。」
刑事事件の流れについて
刑事事件は時間を追って捜査段階から公判段階に移行します(下の図の縦の流れ)。
※捜査段階は「被疑者」、公判段階は「被告人」と呼び分けが行われます。
被疑者・被告人の立場から刑事事件の流れを分けると、身柄拘束された状態(下の図の左半分、いわゆる「身柄事件」)と身柄拘束されていない状態(下の図の右半分、いわゆる「在宅事件」)とに区分することができます。
身柄事件か在宅事件かにより、弁護士の活動は大きく異なります。
身柄事件の場合、拘置所または警察署の留置場で身柄拘束されているご本人のもとへ弁護士が接見に赴き、打合せを重ねて事件処理にあたります。この場合、ご本人だけではなく、ご家族等の関係者の方々とも密に連絡を取り合うことになります。
なお、身柄事件で「接見等禁止処分」が付されている場合(否認事件等の場合に、付されるケースが多いです。)で、ご家族が面会出来ない場合でも、弁護士はご本人と接見することが出来ます。
在宅事件の場合、ご本人に当事務所にお越しいただき、打合せを重ねることになります
ケース1「逮捕されてしまった! 早く外に出るためには。。。」
一般社会で普通に生活している人であっても、罪を犯してしまい、被害者が被害届を提出して捜査機関が動けば、問答無用で逮捕されてしまうことがあります。
このような場合、まずは、警察署の留置場で身柄を拘束されている状態から一刻も早く身柄を解放して、ご本人の本来の社会生活に復帰していただくことが最も大事なことです。身柄を拘束されているままですと、当然のことながら、会社員の場合には無断欠勤になってしまいますし、学生の場合にも授業などを無断欠席することとなってしまいます。
ご本人が犯罪を認めていて、被害者の方との間の話合いによる解決(いわゆる「示談」)による早期の釈放の可能がある事案であれば、弁護士は、速やかに被害者の方の元に謝罪に行き、示談の成立を得るために全力を尽くします。これが達成されれば、不起訴処分が得られ、速やかに身柄が解放される可能性が高まるでしょう。
ここで、弁護士を選任するメリットとして、以下のようなことが考えられます。
- 被害者との交渉という難しい局面を、信頼できる第三者に任せることができます。
- 被害者の連絡先を捜査機関から教えてもらう際、弁護士がついている方が円滑です。
- 示談の際、示談金額等の適正な条件について、弁護士の助言を得ることができます。
- 示談の際、示談書を作成し、民事を含めて、紛争の一挙解決を図ることができます(刑事事件の終了の後、さらに民事で訴訟を起こされたりすることもなくなります)。
- 勤務先対応等、刑事手続外の事柄にも、弁護士の意見を得ることができます。
- 家族等の接見が禁止されていても、弁護士を通じて本人の様子を聞くことができます。
ご本人が否認をしている(犯行を認めていない)場合、弁護士は捜査機関及び裁判所に対して犯罪が成立しないことを強く訴え、早期の身柄解放のために全力を尽くすことになります。具体的には、検察官には勾留請求を断念するように、裁判所には勾留を認めないように強く求め、運悪く勾留されてしまった場合には、早期の身柄解放と不起訴処分を求めて、捜査機関及び裁判所に積極的に働きかけることになります。
ここで、弁護士を選任するメリットとして、以下のようなことが考えられます。
- 何よりも、無実の罪で苦しむご本人の元へ接見に行き、精神的支えになります。
- 早期の身柄解放のため、ご本人に取調べに対する対応方法等を指導します。
- 違法不当な取調べを受けた場合、弁護士を通じて厳重に抗議することができます。
- 勾留の争い方に長けた弁護士が主導することで、身柄解放の可能性が高まります。
- 必要に応じて弁護士自ら捜査機関や裁判所に出向き、身柄解放の交渉を行います。
ケース2「起訴されてしまった! 保釈を得て外に出るためには。。。」
捜査段階で否認して戦ったにもかかわらず身柄の解放を得ることがかなわず、そのまま起訴されてしまった場合、ご本人の社会復帰のためにも、早期に保釈を得て在宅事件に移行することが極めて重要な事柄となります。
保釈は否認しているから認められないものではありません。弁護士は、保釈請求のため必要な準備を行い、裁判官や検察官と交渉を重ね、保釈を得るために全力を尽くします。
ここで、弁護士を選任するメリットとして、以下のようなことが考えられます。
- 保釈の見通しや然るべき時期等について、専門的意見を得ることができます。
- 弁護士が保釈請求において重視される事柄を意識した活動を行います。
- 弁護士が裁判官の元に出向き、保釈を得るために何が必要かを見定めます。
- 保釈保証金の減額について、弁護士が裁判官と交渉を行うことができます。
- 1度目の保釈が却下されても、弁護士が粘り強く再度の保釈申請を行います。
ケース3「起訴されてしまった! 自分は無実で冤罪だ!」
無実の罪で起訴されてしまった冤罪事件の場合、言うまでもないことですが、無罪判決を得るために弁護士は全力を尽くします。
具体的には、検察官の主張を詳細に検討し、検察官の立証が足りないことを指摘するとともに、弁護側としても無罪の反証のために手だてを講じることになります。
ここで、弁護士を選任するメリットとして、以下のようなことが考えられます。
- 法律専門家である弁護士が、無罪判決に至る法的道筋を定めて助言します。
- 弁護士が検察官に対して、裁判に提出しない証拠の開示や再捜査を求めます。
- 弁護士が独自に証拠収集や再現実験などを行い、無罪の反証を行います。
- 以上と並行して、弁護士は裁判所に対して、保釈による身柄の解放も求めます。
ケース4「起訴されてしまった! 刑務所には行きたくない。。。」
捜査段階で罪を認めて反省を示したけれども、起訴を免れなかったという場合、捜査段階での自白を維持するのであれば、執行猶予付判決や罰金判決を得ることが最大の目標となります。
実際に刑務所に収監される実刑判決と、刑務所への収監を猶予される執行猶予付判決や罰金判決とでは、ご本人や家族に与える社会的・精神的ダメージは雲泥の差があり、人生を左右するほどの差があると言っても過言ではありません。
弁護士は実刑判決を避けるため、取り得る手段を尽くすことになります。
ここで、弁護士を選任するメリットとして、以下のようなことが考えられます。
- 実刑判決を避けるために、弁護士が有利な情状をできる限り主張します。
- 弁護士が情状証人として適切な人物を選定し、有効な情状立証を行います。
- 被害者に対する謝罪や弁償の実行のため、弁護士が示談交渉を行います。
- ご本人の社会復帰環境を整えるため、弁護士が的確な助言を行います。