前回はマンション標準管理規約の改正に関する記事を掲載しました。今回はマンション以外の記事にしようと考えていたのですが,令和3年11月30日に,国交省から「マンションの管理の適正化の推進に関する法律第5条の3に基づくマンションの管理計画認定に関する事務ガイドライン」が公表されました。
改正マンション適正化法による管理計画認定制度は,マンション問題で今一番ホットなトピックであり,私がマンション問題に関する講演を行う際に扱うことも多いテーマので,この話題に触れないわけにはいかないと考え,今回もマンションに関する記事としました。
改正マンション適正化法及び改正マンション建替え等円滑化法は令和2年6月16日に成立(同月24日公布)しましたが,この2つの法律が改正された背景は次のとおりです。すなわち,今後,マンションの老朽化や管理組合の担い手不足が顕著にみられる高経年マンションが急増する見込みです。このような状況を踏まえて,主として改正マンション適正化法によって,マンションの老朽化を抑制し,周辺への危害等を防止するためのマンションの「維持管理の適正化」を図り,主として改正マンション建替え等円滑化法によって,老朽化が進み維持修繕等が困難なマンションの「再生に向けた取組の強化」を図ろうとしています。
そして,改正マンション適正化法において新設された管理計画認定制度は,国が定めた基本方針に基づき,都道府県等がマンション管理適正化推進計画を作成した場合において,都道府県等において,各マンション(管理組合)が作成した個々のマンション管理計画が一定の基準を満たしているか否かを認定する制度です。冒頭でご紹介したガイドラインは,この管理計画認定に関する事務の円滑化を図るために作成されたものですので,申請手続や認定の流れ,認定基準等がまとめられており,今後,各マンションが管理計画認定の申請を行う場合にはこれを参照すべきものと考えられます。
この認定制度によって,管理組合によるマンションの管理の適正化に向けた自主的な取組が促進されることや,認定を受けたマンションが不動産流通市場で高く評価される等のメリットが期待されているところであり,マンションの資産価値を外部に示す手段となっていくことが予想されます。なお,各マンションにおいては認定の申請を行うか否かにかかわらず,認定基準を参照しながら,マンションの現状把握をすることで,現時点におけるマンションの管理水準を検証することも可能です。
その他,改正マンション適正化法では,管理計画認定制度以外にも,都道府県等による管理適正化のための助言,指導,勧告制度も新設されましたので,マンション管理に関わる方々においては,是非改正法をご確認ください。
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