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家事調停官の任期を終えて
豊田秀一コラム

2024.11.29

先日、家事調停官の任期を終えました。

任期中は、日々の弁護士業務との時間的調整を図るのには苦労しましたが、裁判所内部から調停手続の主宰者として多数の事件に関与することができました。

この経験は、多角的な視点を持って調停手続に参加することができるようになったという点で、今後の弁護士業務にもプラスになる貴重な経験であったと思います。

家事調停官の任期中は、離婚、婚姻費用、遺産分割、遺留分侵害額請求などはもとより、協議離婚無効や嫡出否認など、これまでの弁護士業務では取り扱う機会が少なかった事件類型にも接することができました。

弁護士として扱うのとは比べ物にならないほどの事件数を担当できたということは、それ自体貴重な経験でした。

しかし、私が任期中に得た一番の気付きは、調停手続は裁判所や双方当事者等の手続に関与する者全てが、個々の果たすべき役割を意識した活動をすることが必要不可欠であり、かつ、そうすることにより充実した審理や双方が納得した結論での早期解決に繋がるということを実感できたことです。

書籍等では「手続関係者の協働」と表現されることが多いとは思いますが、この言葉の意味を手続の主宰者として実感することができたのは、家事調停官を経験することができたからであったと感じています。

今後は、代理人として調停手続に関与することになりますが、家事調停官として得た経験を忘れず、代理人活動に活かしていきたいと思います。