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養育費及び婚姻費用の新算定表について
豊田秀一コラム

2020.01.14

養育費及び婚姻費用は,夫婦又は父母が協議で定めることとされており,その協議が調わないとき等には,家庭裁判所が定めることとされています。

そして,養育費及び婚姻費用の算定については,平成15年に算定表(従来の算定表)が公表されて以来,家庭裁判所の実務等では,簡易迅速性,予測可能性及び公平性を確保するもの(算定表を利用した場合,双方の収入や子の人数・年齢が判明すれば,大まかな金額を算定することが可能となりました。)として,この算定表を用いた算定が定着していました。

ところが,従前の算定表が公表されてから約15年が経過しており,社会情勢の変化等を反映したものとするための検証が迫られていました。

このような中,最高裁判所は,令和元年12月23日,上記検証結果をまとめた新たな算定表(新算定表)を公表しました。

この新算定表では,従来の算定表における考え方を踏襲しつつ,その基礎となる統計資料を最新のものを用いる等して改良されています。したがって,新算定表は,従来の算定表の延長線上に位置付けられるものと考えられますが,従来の算定表との対比において注目すべき点を挙げると,以下のとおりです。

なお,新算定表は,従来の算定表が公表された後の社会情勢の変化等を反映させ,現在の社会実態に即応させるためのものです。そのため,新算定表の公表によって,養育費及び婚姻費用の額が一律に増加するわけではなく,ケースに応じた個別具体的な判断が必要となる点に変化はないと考えられます。

 

① 総収入に占める基礎収入割合

 ・給与所得者については,概ね54%~38%となる。

 ・自営業者については,概ね61%から48%となる。

② 生活費指数

 ・0歳から14歳が62(従来の算定表では55)

 ・15歳以上が85(従来の算定表では90)

③ 義務者が低所得の場合

  支払義務がないとするのではなく,算定表の枠内で個別具体的事案に応じて検討する。

④ 養育費の支払義務の終期

  民法の定める成年年齢が18歳に引き下げられるものの(令和4年4月1日施行),養育費の終期としての成年は,基本的に20歳と解するのが相当である。

⑤ 事情変更

  新算定の公表自体は,養育費及び婚姻費用の額を変更すべき事情変更には該当しない。