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「日弁連公設事務所・法律相談センター」について
長谷山尚城コラム

2009.10.29

 弁護士の長谷山です。

 今回は,私の所属する日弁連公設事務所・法律相談センターの活動についてお話しします。

 日本に弁護士は現在、2万5000人以上いますが、そのうち東京だけで1万2000人以上おり、大阪、名古屋を加えると約1万7000人になります。すなわち、日本の弁護士の約3分の2が、東京、大阪、名古屋にいるのです。

 一方、その他の地域、特に各県の支部と呼ばれる地域には弁護士はほとんどおらず、弁護士に相談したくても何時間もかけて事務所まで行かなくてはなりません。

 このように住んでいる地域によって、事実上、弁護士が利用できない、ということがあってはなりません。そこで、誰もが平等に司法の権利を行使できるように,日弁連公設事務所・法律相談センターは、ひまわり基金法律事務所を作ったり、各地に法律相談センターを作ったりという活動を行っています。

 私自身の話になりますが、平成16年10月から約3年半、この弁護士過疎の問題を解消するため、熊本県山鹿市にひまわり基金の公設事務所を開所し、現地で弁護士として活動しました。熊本県内に弁護士は180名いますが、私のいた山鹿支部管内は私が赴任する以前は弁護士が1人もいませんでした(現在でも、わずか2名の弁護士で頑張っています)。そのため、弁護士に相談すれば簡単に解決できる問題(弁護士の名前で内容証明一つだせばそれで解決する問題など)を、それまで諦めていた方が多くいらっしゃいました。このとき、「身近に弁護士がいないということは、法律がないというのと同じである。」と痛切に感じました。

 現在、私は武蔵小杉に事務所を構えていますが,それも、少しでも多くの方に弁護士に気軽に相談して頂きたいという気持ちから、地元・川崎の中で比較的弁護士の少ない地域である当該地域を選択したのです。

 この「弁護士へのアクセスを容易にすること」は、弁護士としての私のライフワークです。現在は武蔵小杉で市民の方々の相談に乗る傍ら,私自身の弁護士過疎地での経験を生かし、日弁連公設事務所・法律相談センターの事務局次長として、各種課題に取り組んでいます。全国各地の弁護士過疎地域を飛び回っていますが、やりがいのある仕事ですし、今後もこの問題には主体的に取り組んでいきたいと思っています。