成年後見
よくあるご質問
私の母は、くも膜下出血になった後認知症が進行し、現在成年後見人についてもらっています。医者は再発のおそれもあると言っており、いつ手術や入院が必要になるか分かりません。ただ、私としては、病院の対応が良くないことから違う病院のお世話になりたいと思っています。一方、私には兄弟が二人いますが、兄弟間で万が一の時どの病院にお世話になるのかという合意が得られていません。この場合、母の手術・入院や、病院をどこにするかといった点について、兄弟や私の合意なしに成年後見人の一存で勝手に決められてしまうのでしょうか。
弁護士からの回答
お母様が手術や入院をするか、といったことを成年後見人に勝手に決められてしまう、ということはありません。
というのも、成年後見人は、本人が医療行為を受けること、もしくは受けないことにつき、本人に代わって承諾することができないからです。医療行為を受けたり、受けなかったりすることは、本人の固有の権利であり、成年後見人が代理して行う行為ではありません。生死に関わる手術・入院にかぎらず、本人に風邪薬を飲ませること、予防注射を打つことといった日常的なものについても、成年後見人は代わりに承諾することができないとされています。
もっとも、このように成年後見人には承諾する権限がないことから、風邪などの比較的軽い病気や、逆に急を要する治療については、実際には、病院としては、家族全員の承諾を得ることなく、お母様の近くに住む親族の方に同意をとるなどして対処せざるを得ないとなると思います。その際に、対処方法が決まっていないと、どうして同意したんだ、同意しなかったんだ、といった形でもめる原因ともなってしまいますので、ご兄弟との間で、どのように対処するか、ということをなるべく早く、かつ詳細に合意しておくことをおすすめ致します。